本院は昭和７年　現在地に故山内龍馬博士が開設されました。名誉理事長　松澤巴先生によれば山内先生は“医療の鬼”とも言うべき人で、病める人を救うことに昼夜の別なく全身全霊を打ち込んでおられたとのことです。真の医療者であられたとおもいます。

　昭和４０年１月３０日、医療法人山内龍馬財団が設立されましたが、この１０日前の１月２０日、　認可の報せをお聞きになり、ほどなく他界されたそうです。昭和初期の病院開設は当地住民に計り知れない貢献をしたといわれています。

　翻って、いま本院は地域の皆さんにいかなる貢献をしているでしょうか。周辺には高度先進医療技術を備えた大病院があります。現代医療の面からみれば、当院は９１床の内科単科病院であり、内科疾患に限られた対応ということを考えると、それらの病院に比べれば内科以外の疾患や設備の面で十二分な医療を提供しているとは云えないかもしれません。しかし、当院は専門医など臓器別内科分野でのエキスパートがそろっていて、下記疾患の領域では十分かつ適切な医療を提供していると考えております。糖尿病、消化器疾患、呼吸器疾患、血液疾患、循環器疾患については経験豊かな優秀な常勤医が患者さんの要望に応えるべく親身になって真っ当な医療をおこなっております。この臓器別疾患のスペシャリストが患者さんの相談や治療にあたるのが当院の特色です。このほか、さらに大学から肝臓専門医、循環器専門医、整形外科医、甲状腺疾患等をふくめた代謝障害のエキスパートが毎週来院し、最新の治療情報をもたらし、さらに治療も行っております。したがって以上の領域ではそれなりの責務を果たしているとおもいます。

　わが国の医療現況は後期高齢者医療制度問題は云うに及ばず医療全般が患者、医療者双方にとって、不幸な時代に入っています。これは実際の医療現場を知らず、命を救うことに昼夜を問わず立ち向かったことのないものが現代日本の医療を支配してしまっているからです。当院の全職員はこのような厳しい状況の中でも患者さん中心の医療の実践を常に心がけています。医療者にはある程度の自己犠牲を伴うものと私は心得ています。私としては少しでも山内龍馬先生の志を継いで“医療の鬼”になり、そして全職員が奉仕の心で患者さんに尽くすように務めるつもりです。